2012年3月25日日曜日

ヘルメットのサイズを測ってもらいました。

SHOEIのブースでは測った結果をこういうシートで出力してくれました

東京モーターサイクルショーでAraiとSHOEIのブースが出ていたので、ヘルメットのサイズをきちんとはかってもらいたくなって、測ってもらいました。

Araiさんでは頭の鉢の全周を測ってもらいました。前後や左右の幅計測は無し。ただし、髪がぺしゃんこになってぎっちり圧迫感があるほどまでメジャーを頭に巻いての測定でした。結果は59.6㎝で59.6cmのLサイズが被れるとのこと。ブースに置いてたメットを被ると確かにみちって感じだけど被れる。本当はこれくらいがジャストフィットだったのか・・・

次にSHOEIのブースで計測してもらいました。結果は上の画像の通り。やっぱりXLじゃなくてLがジャストフィットらしい。 特に前後長と左右長の誤差が±0mmな人はそうそういません、とまで言われてしまいました。今までずっとXLじゃなきゃ被れないと思ってた。SHOEIも Lサイズを被ってみるとやはりみちって感じだけどちゃんと被れる。SHOEIのX-9、X-11、X-12と6年で3つ替えてきたけど、全てXLだったので実はブカブカだったみたいヽ(`Д´)ノ ウワァァァン

XLだと思い込んでいるから試着もXLサイズしかしてなかったんですよね。Lサイズも被って試しておけば良かった。

帽体もLサイズとXLは別だそうなので、このまま使って次換える必要が出てきた時にはLサイズを購入したいと思っています。

2012年3月23日金曜日

お蔵入り

棲む技術の世界は違うけれど、技術者として見習いたい言葉が湾岸ミッドナイトという漫画の中にありました。エンジニアと言うカッコいい横文字よりも職人に憧れるヒヨッコ技術者の与太話だと思って聞いてくれれば嬉しいです。


誰かが何かをする すると必ず声がする・・

ドコかで仕入れた知識や本で拾ってきたリクツ並べて

そんなコトは知っていた とっくにわかっていた 

やらない奴はいつもそう言う

他の世界は知らねえが ことチューニングの世界じゃソレは通じねえ

自分の手で そして自分の体でやり遂げた者だけがモノを言えるわけだから

 (湾岸ミッドナイト31巻 北見淳のセリフ)


今日で、俺が入社してからの3年間を注ぎ込んだ開発品のお蔵入りが確定しました。

元々、海外の規制要求に対応するために始めた研究と設計で、適用出来そうな既存の技術があまりにもお粗末なため、よし!俺らで良いモノを作って今後の自社製品に組み込んで行こうじゃないか!ってスタートした開発品でした。俺自身も入社したばかりで何も分からない素人だった事を逆に強みにして大胆な設計をしたりしました。特許も社内で教育を受ける前に「特許の明細書なんて他人が書いたのを見て書きゃ誰だって出来るからw」とか言われて書いてみたり。デカい会社なのにこういう所はどうかと今でも思いますけど。特許もその後、自分で書いたのやら一緒に仕事していた研究所の人が書いたのやらを合本して海外出願するんだけど社内の厳しい偉い人に了解を取るために説明するも「全然ダメ!やり直し!」とか言われて半年くらいひたすらダメ出しされながら何度も見てもらってOKをもらったのも懐かしくさえ思えます。

既存の技術のネガなところを全て潰せるように、考えてスタートした開発でした。今は事情があって担当者は俺じゃない人がやっているんだけど、結局、既存の技術もイマイチだけど開発品もまだ完成していない、そんな状況でどっちを選べば良いの?って議論をずっと続けてきたのですが、結局は時間(スケジュール)とお金(開発費)の面で既存の技術に消去法的に軍配が上がりました。まぁそれはそれでいいんじゃないかと思います。いくら良いと言っても支持されない物や納期に間に合わないものでは意味がありませんから。開発をやってた人間としてはそのネガな部分はどこまで行っても潰しきれない欠点として後々残るとは思うけれど、社内的に自分が担当でない時点で、もうアレコレ言う資格がないんだと。そういう事で今日の判定会議では静観という立場で過ごしてました。訊かれたことには答える。だけど現担当者を責めもしないし(これは当然)、かばいもしない(ちょっと冷たい?)。最後まで責任が持てないことだから余計な首を突っ込む方がおかしいわけです。ここに至るまでに色々と怒ったり嘆いたりと色々と苦しみましたが、何とか割り切りました。会社ってそういうものかと。

この考えに至るまでは、色々と自分しか知らない事なのにそれを現担当者に訊かれない事とかも先回りして教えたりしてみたり、それで逆にウザがられたりしました。今日の会議で初めて知った情報も沢山ありましたけど、もうこういう事態になっている時点で俺は必要とされてない、と。ならば逆に静観してればいいかなって。何も情報を共有してもらえないのに、その判定会議で了解しました、文句はありませんという言質を取るためだけに呼ぶような現担当者のやり方は相変わらずオカシイだろ、とは思いますが、それは目をつぶろうと。

開発をやっている時は上の湾岸ミッドナイトの北見のセリフのような事をよく思っていました。自分の手を動かしたわけでもない人々がワケ知り顔で小賢しい理屈で俺の開発品を批評する、と。でも、自分でゼロから起こして1にまで持って行けた経験が出来た事は非常に良かったと思っています。俺がいる業界は海外のメーカーに技術を教えてもらってそれを日本の要求に合うように色々と改良していった、いわば1を2や3に向上させていく作業がメイン。ゼロから1を作る人はあまり社内にもいないんです。結果としてボツになってしまったけれど得難い経験が出来たと思うことにしようと。

企業だから短期間で成果を出さないといけないとか色々とあるからしょうがないんでしょうけど、もう少し長期的な目で技術を見てくれればいいのに、とよく思います。社内で研究をやるとしても自分たちでは企画して計画を練ってお金を取ってきて、実験自体は社内の研究所の人達にやってもらうんですけど、とにかく絶対に失敗しない、つまり確実に成果が出ることが一番に求められます。でもそれは裏を返せば、もうやればこうなるって分かってる範囲の事をデータを取るためだけに実験をやるわけですよ。何か実験で新しい事が分かってしまったら計画は破たんです。大学の研究とはだいぶ違いますよね。あとは世の中の景気にもかなり左右されてしまうところがあります。主に予算的な意味で。リーマンショックが起きた事で開発費が圧縮されて計画の2割とか1割しか出なくて必要な試験が出来なくなった事もありました。でも当初立てた計画の通りに成果が進んでそのスケジュール通りに終わらないとダメなんです。お金がかけられなくても手間はかけられるだけ可能な範囲で努力するけれど、やっぱり開発費が無いと良いモノが出来ないのも真実。たられば、の話はしてもしょうがないけれどリーマンショック起きてなければ開発もきちんと完了していて、もっと高いレベルで既存の技術と競合できたのに、とは思います。

結局、これからはそのネガな部分を多数抱えた既存の技術をひたすらネガな部分を潰すことで要求に耐えられるレベルまで持って行くしかないでしょう。それは現担当者がこれからやること。でも、アップデートしていくにもその素性が悪過ぎるかな、と。そう思います。その技術はそんな高尚なものではないけれど、ホンダのNSXを開発した経緯を思い出しました。いきなりクルマの話になってしまいますが。

元々、NSXはFF(車体の前部にエンジンを置き、前輪を駆動する形式)を得意とするメーカーであるホンダが生み出した車です。フェラーリやランボルギーニばりに車体の中央部にエンジンを置き後輪を駆動するMRと言われる形式の車は実はFFのシャシーの前後をひっくり返したものがベースです。 NSX自体は3.0Lのエンジンを中央に積むMRでオールアルミボディで価格も800万とバブルの象徴のようなスーパーカーでしたが、開発当初はもっと小さなサイズでスタートしたのでした。FFのパワートレインを持っていれば前後をひっくり返せば作れる車。それがきっかけです。当初は2LのMRの軽量スポーツカーがスタートのコンセプトだったそうです。ところが開発の度重なる中断と競合他社からの2L前後のライトウェイトなMRのスポーツカー(トヨタの MR2ですね)が出る、それとバッティングしないように車格はどんどん上がり、フェラーリがライバルです!みたいなクルマにまで行ってしまったモデルだったんです。最初からそこを目指して作られたモデルでは無かったと。

そんなボタンの掛け違いからスタートして後はホンダの技術者の意地みたいなものもあったのかなぁ、と想像してみてます。そこまで高尚なものでは僕らの相手にしているものはならないけれど、結局、課せられた制約条件の中でダメと分かっているけれどそれを改良して今ある1を2や3にしていくしかないのかなぁ、と。それでうまく行くならやってみればいいんじゃないの、って思うし。

開発をやっていた頃の自分のモットーみたいなのがあって「やってみなければ分からないでしょ」ってとりあえず何でもやってみたけれど、今にして思えば、それは結局、未来図が描けていないので無駄が多くなりがち、とも思うんですよ。とにかくやってみよう、というその熱意は良いと思うけれどこういうモノに仕上げるんだって完成図というか青写真が頭の中に無いまま、突っ走るのはあまり良くないですよね。無駄に気付いてしまった時、やみくもにやってきた場合だとやる気があっという間にそがれていくと思います。無駄ほどやる気を削ぐものはありません。

何か愚痴なのか技術的に精いっぱいやったけど失敗だったけど良い経験だったという話なのかよく分からない話になってしまったけれど、これでまたゼロから1を作り出す事をやっても良い自由な立場に戻れたと思えばそれもまた良しかな、と思います。終わり(笑)