ある時店をでると雨になっていた
小走りで仕事に戻る途中 オレは白いセダンの前で立ち止まった
楽しそうなカップルが乗っていた 恋人同士か それとももう夫婦か
年もオレと同じぐらいだった あの頃のオレはチューナーとして行き詰っていた
オレの組むEGは客を選び結果として行き詰っていた 本当に幸せそうな男女だった
対し雨に打たれる作業着のオレは惨めに見えただろう・・ だが
オレの方が絶対に幸せだと思った
<湾岸ミッドナイト第41巻より抜粋>
悪魔のZと呼ばれる車に自分の全てをかけて取り組んでいた頃を振り返るチューナー北見の独白です。それに対する、高木の返事というか独り言。
・・それっておかしいですよ北見サン くくっ
そんなの百倍むこうが幸せでしょう
・・でもわかりますオレも今は
また、北見は第5巻でこんな事も言ってます。
工場はツブしたし・・ 家族も去っていった
でもオレが一番幸せだッ 19の時からずうっと
今でもオレはスピードにとりつかれている.
これ以上の幸せがドコにあるッ
自分の職人としての極みである最高傑作のZが走っている限り、彼は幸せなんです。
自分の仕事にも言える事ですが、(恋愛や結婚など)十人並の幸せを諦める事と引き換えに技術者としての極みと言う幸せを手に入れられれば、それもまた最高だなって思うんです。自分が関わった仕事(僕の場合は発電所の建設)によって文字通り、見知らぬ人々の心に明かりが灯る、そういう事って技術者として最高の幸せじゃないかと。
多分、僕の今の仕事と家庭を持つことは両立はしないでしょう。事実、周りを見ても破綻した人や家庭を持たない事を選んだ人もいます。多分、両立させられる人もいるんだろうけど、僕にはそれだけの器量が無い。
今の自分にやれるだけの事をこなして技術に対して真摯な気持ちで取り組み続ける事が出来れば、きつい状況でも腐らずに前に歩いて行けるのではないかと思うんです。
明日も頑張ろう。
ドコかの国で戦争があろうがそんなこたァ知らね──
返信削除俺が一番幸せだッ──
そんな風に考えていた時期が俺にもありました・・
アンチャンさん
返信削除コメントありがとうございます。ちょっと厨房くさい北見のおっちゃんの発言ではありますが、幸せは自分の胸が決めるところはありますよね。
幸せって何なんでしょうねぇ…